「この子、面接ではあんなに良いことを言っていたのに…」
そんな後悔を、あなたはいくつ経験してきたでしょうか?
いまIT企業では、人材の“質”と“定着”が最重要テーマになっています。
待遇や制度を整えても、離職が続く…
その原因の多くは「採用段階の見極め不足」、つまり“質問力”の欠如にあります。
この記事では、採用面接の本質を「質問力」にフォーカスし、応募者の本音を引き出すための20の実践質問とその活用法を徹底解説します。
- 面接でミスマッチを防ぎたい
- 応募者の本音を引き出したい
- 新卒・中途問わず採用力を高めたい
そう考える面接官の方へ。
あなたの質問次第で、採用の精度と定着率は劇的に変わります。

第1章|なぜ“質問力”が面接のカギになるのか

採用失敗の本質は、質問の質にある
「うちの会社と合っていると思ったのに…」
そう感じたことがあるなら、それは面接時に“本質”を見抜けていなかった証拠かもしれません。
人材のミスマッチは、本人の問題ではなく、面接官の“質問の浅さ”に起因しているケースが多くあります。
たとえば「志望動機は何ですか?」という定番質問。
テンプレート的な回答を引き出してしまえば、どの応募者も同じように見えます。
しかし、その背景にある価値観や行動の癖まで掘り下げる質問ができれば、候補者の“本音”や“素顔”が見えてきます。
面接とは、情報収集ではなく“人を理解する場”です。
質問の設計が甘いと、いくら時間をかけても誤った判断をしてしまいます。
入社後に定着せず離職してしまうケースでは、価値観の不一致が大きな要因です。
面接の段階でそれを見抜くには、単なるスキル確認ではなく、深く切り込む質問が不可欠です。

第2章|応募者の“本音”を引き出す3つの前提

質問の前に整えるべき面接環境
優れた質問があっても、それが機能するとは限りません。
質問が“本音”を引き出すには、以下の3つの前提条件が不可欠です。
1. 親近感を感じる空気づくり
応募者が「試されている」「間違えられない」と感じる空気の中では、表面的な回答しか返ってきません。
まずはアイスブレイクや雑談を活用し、リラックスした雰囲気を作ることが重要です。
例:「今日は来る途中、迷いませんでしたか?」
このような一言が、応募者の緊張を和らげ、素の言葉を引き出すきっかけになります。
2. 正解を求めない聞き方
「どう答えればウケが良いか」を考えさせてしまうような質問は本音を遠ざけます。
面接官は「この質問に正解はないですよ」などの前置きを使い、安心して話せる環境を整える必要があります。
3. 自社の魅力を“語りすぎない”
面接官が先回りして自社の制度や環境を語りすぎると、応募者はそれに合わせた“演技”を始めます。
まずは応募者の価値観をしっかり引き出し、そのうえで共鳴点を示すほうが信頼関係も深まりやすくなります。
第3章|面接官が押さえるべき質問20選

新卒・中途どちらにも使える本音を引き出す質問集
以下は目的別に分類した“応募者の本音を引き出す質問20選”です。
【価値観を掘り下げる質問】
- どんなときに「自分らしさ」を感じますか?
- いままでで一番うれしかった仕事や経験は?
- 誰かのために頑張った経験を教えてください。
- あなたが大事にしている考え方を1つ教えてください。
- 働くうえで「これは絶対に譲れない」と思うことは?
【行動特性を見る質問】
- 最近、自分から行動を起こしたことは?
- チームで意見が割れたとき、どんな役割をとりますか?
- トラブルに直面したとき、どう対処しましたか?
- 物事を継続するうえで工夫していることは?
- 学生時代に一番力を入れたことは何ですか?(新卒)
【モチベーションの源泉を探る質問】
- どんなときに夢中になって時間を忘れますか?
- いま一番楽しみにしていることは何ですか?
- 自分のやる気スイッチって何ですか?
- 忙しいとき、どうやって気持ちを切り替えていますか?
- 理想の一日ってどんな日ですか?
【離職リスクを見抜く質問】
- これまでの職場で合わなかった人はどんな人でしたか?
- どんな環境だとストレスを感じますか?
- なぜ前職を辞めましたか?(中途)
- やりがいを感じなくなったとき、どう対応しますか?
- 「仕事を辞めたい」と思ったことはありますか?どんなときに?

第4章|質問力を“定着率”につなげるために

面接は“通過点”ではなく、“育成のスタートライン”
「採用できた、では終わらない。」
面接で応募者の本音を引き出す力を磨くことは、ミスマッチを防ぐだけではなく、採用後の“定着率”を高める極めて実践的な施策でもあります。
実際、多くの企業においては、リソースが限られた中で少数精鋭の体制を維持している企業が多く、「1人を採用する重み」が非常に大きいのが現実です。
優秀な人材をせっかく迎え入れても、わずか数ヶ月で離職してしまうような事態が続けば、現場の負担はさらに増し、残された社員のモチベーションやチームの生産性にも深刻な影響を及ぼします。
こうした“負の連鎖”を断ち切る鍵こそが、面接時に得た情報をどれだけ組織全体で活かせるかにかかっているのです。
面接は「その場限り」にしてはいけない
多くの企業でありがちなのが、「面接=合否を決める場」としてしか認識されておらず、その後の社内連携や教育方針に面接情報がまったく活かされていないケースです。
しかし、それが面接官の頭の中や個人のメモに留まったままでは、他の社員は何も知らないまま新入社員と向き合うことになり、せっかくの面接の“投資”が無駄になってしまいます。
そこで重要なのが、面接内容の組織的な共有です。
「面接記録」を“戦力化”するための工夫
具体的には、面接中に得た重要な発言や態度の変化、価値観に関するエピソードなどを、評価シートやオンボーディング計画に組み込みます。
さらに、営業部門や開発チームなど、配属予定部署のリーダーに対して、「この応募者は◯◯な志向が強かった」「こういう環境で力を発揮しやすい傾向がある」といった補足情報を事前に共有しておくことで、入社後の教育や接し方に一貫性が生まれます。
たとえば、ある応募者が「与えられた課題よりも、自分で目標を立てて進めることが得意」と語っていたならば、入社初期から自由度の高いプロジェクトを与えることで、モチベーションが維持されやすくなります。
逆に「何をどうすればいいか、具体的に示してもらえると安心して動ける」というタイプであれば、タスクを段階的に提示するスタイルが適しています。
質の高い“質問力”をチームで共有できるかが肝
また、面接の質を組織全体で引き上げていくには、面接官の“属人化”を防ぐ必要があります。
経験豊富な面接官と、採用業務に不慣れな担当者では、どうしても質問内容や深掘りのレベルに差が生まれてしまいます。
そのギャップを埋めるためには、「質問フォーマット」の整備と「社内トレーニング」の導入が欠かせません。
さらに、年に数回、社内でロールプレイ形式の模擬面接を行い、面接内容の設計や評価観点のズレを擦り合わせる場を設ければ、組織全体の面接力が底上げされます。
こうした取り組みは、単に“うまく質問できる人”を育てるだけでなく、「この会社は採用に本気なんだ」というメッセージを応募者にも伝える力を持っています。
面接情報は、信頼関係づくりの“種”になる
面接で交わした言葉は、採用が終わっても無駄にはなりません。
それは、入社後の1on1やキャリア面談の“種”として活かすことができます。
さらに、面接時の発言をベースに中長期の育成計画や配属シナリオを設計すれば、社員のキャリア満足度も高まり、長期的な定着へとつながっていきます。
採用活動は「未来のチームづくり」そのもの
ここまで読んでいただいたあなたは、もうお気づきかもしれません。
そう、面接は単なる選考プロセスではなく、未来の組織を形づくる第一歩なのです。
「この人を選ぶ」だけで終わらせず、「この人をどう活かすか」まで含めて採用と捉える企業は、総じて社員の定着率も高く、現場のコミュニケーションや組織力にも優れています。
質問力は、見極めのためだけにあるのではありません。
“育てる”ための武器にもなるのです。
まとめ
質問によって本音を引き出すだけでは、定着にはつながりません。
大切なのは、その本音をどう社内に共有し、どのように活かしていくか。
面接は通過点ではなく、“信頼関係づくりのスタートライン”。
- 情報の活用力
- 面接官育成
- 入社後のフォローアップ
この3つを意識して組織としての採用力を高めていくことが、離職を防ぎ、活躍人材を増やす最短ルートです。
質問力を「採用の精度」だけで終わらせない。
その先の「組織の未来」までつなげる視点が、いま最も求められているのです。



