「オンライン説明会もやっているのに、応募が伸びない」
「せっかく採用しても、1〜2年で辞めてしまう」
「対面説明会を再開したいが、どこまでやるべきかわからない」
ここ数年で、新卒採用の“常識”は大きく変わりました。
それなのに、多くの企業ではオンラインと対面の説明会を、なんとなくで決めてしまっています。
その結果として、採用ミスマッチ・内定辞退・早期離職が増え、新卒マネジメントへの不安が膨らんでいるケースも少なくありません。
この記事では、
- 採用に困っている
- 新卒マネジメントに不安がある
- 社員がなかなか定着しない
このように感じている経営者・人事担当の方に向けて、「オンライン説明会」と「対面説明会」をどう組み合わせれば、ミスマッチを減らし、定着まで見据えた採用ができるのかを解説します。
説明会を「とりあえず毎年の行事」で終わらせず、「辞めない人材を採るための仕組み」に変えたい方は、ぜひ読み進めてみてください。
なぜ今、「オンライン説明会」と「対面説明会」の使い分けが重要なのか

若手求職者の情報収集行動は、すでに変わっている
いまの学生や若手求職者は、いきなり会社訪問をしません。
まずはスマホで企業名を検索し、採用サイトやSNS、口コミサイトなどをチェックします。
そのうえで、オンライン説明会や動画コンテンツで「どんな会社か」を“遠くから様子見”する人が増えています。
それにもかかわらず、企業側が説明会の設計を変えられていない場合、求職者との期待ギャップが生まれやすくなります。
「オンラインだけ」「対面だけ」が招く採用ミスマッチ・辞退・早期離職
よくあるのが、次のようなパターンです。
- オンライン説明会しか実施していない
→ 話は聞いてくれるが、会社や人の雰囲気が伝わらず、選考途中で辞退される - 対面説明会だけにこだわっている
→ 参加ハードルが高く、そもそも母集団が集まらない
どちらも、一見すると「手間が減る」「やり方を変えなくてよい」というメリットがあるように見えます。
しかし実際には、以下のような形で“目に見えにくい損失”につながることが多くなります。
- エントリー数はあるのに、その後の歩留まりが悪い
- 面接までは来るが、内定辞退が多い
- 入社後1〜2年で退職する割合が高い
特に、早期離職は企業にとってダメージが大きい問題です。
採用コストだけでなく、教育にかけた時間や既存社員の負担、組織内のモチベーションにも影響します。
採用難の企業ほど、説明会設計が「なんとなく」で決まっている
採用に悩んでいる企業ほど、
「去年と同じ形式でいいか」
「とりあえずオンラインも対面もやっておこう」
「他社がやっているから、うちも同じようにやってみよう」
といった“なんとなくの判断”で説明会の形式を決めています。
しかし、本来であれば「自社の採用課題」「ターゲットとなる人材像」「自社の魅力が一番伝わる場面」を踏まえたうえで、オンラインと対面の役割を設計する必要があります。
ここが曖昧なまま進めると、説明会の準備に時間と労力をかけても、「採れる人は採れるが、なぜ採れたのかがわからない」「定着する人と、すぐ辞める人の違いがわからない」といった状態のままです。
オンライン・対面を戦略的に組み合わせることで得られる3つのメリット

オンラインと対面、それぞれの特性を理解し戦略的に組み合わせると、次のようなメリットが得られます。
① 母集団拡大
オンライン説明会を入り口に置くことで、地理的な制約を超えて全国から候補者を集めやすくなります。
「とりあえず話だけ聞いてみたい」という層も含めて接点を持ち、その中から対面説明会に進んでもらうフローを作れば、限られたリソースで効率的に母集団を拡大できます。
② ミスマッチ防止
オンラインでは “情報を整理して伝えること” に強みがあります。
会社概要・制度・キャリアパス・評価制度などをわかりやすく伝えたうえで、「それでも興味を持った人」に対面説明会へ来てもらうことで、ミスマッチを減らせます。
さらに対面では、社内の雰囲気や価値観、仕事のリアルな姿を伝える場面に集中できます。
その結果、「思っていたのと違った」という理由で辞退される確率を下げられます。
③ 入社後の定着率アップ
オンラインと対面をうまく組み合わせると、採用プロセスそのものが「入社後の関係構築」の始まりになります。
- オンラインで会社のスタンスや期待値をすり合わせる
- 対面で働くイメージと価値観を共有する
この流れを設計しておくことで、「入社してからが本番」の新卒マネジメントが楽になります。
説明会の段階で、すでに会社や先輩との信頼関係が芽生えていると、配属後も相談しやすくなり、定着率の向上につながります。
オンライン説明会の強みと限界【どんな目的に向いているのか】

オンライン説明会のメリットを正しく理解する
オンライン説明会には、対面にはない明確な強みがあります。
全国から候補者を集められる
オンラインであれば、地方在住の学生や、都市部から離れた大学に通う学生も参加しやすくなります。
「興味はあるが、説明会のためだけに移動するのは難しい」と感じている優秀層とも接点を持てます。
また、新卒だけでなく第二新卒や中途人材の採用にも応用できます。
就業中の社会人は、平日の日中に対面説明会へ行くことが難しいため、夜のオンライン説明会は非常に参加しやすい形式です。
工数・コスト削減(人事の負担軽減)
会場手配・資料準備・受付対応など、対面説明会には細かな準備が必要です。
オンライン説明会であれば、場所代や移動コストがかからず、資料もデジタル配布で完結します。
録画コンテンツを活用すれば、「会社紹介パート」は撮り直さなくてもよくなり、人事担当者は質疑応答や個別のフォローに時間を割けます。
応募前の“第一接点”としてハードルが低い
オンライン説明会は、求職者から見て「とりあえず参加してみよう」と思いやすい入り口です。
顔出し無し・チャット質問のみといった形式を選べば、就活に慣れていない学生でも参加しやすくなります。
オンラインで伝わりやすい内容/伝わりにくい内容
オンライン説明会は万能ではありません。
得意なことと、苦手なことを切り分けて設計することが重要です。
オンラインで伝わりやすい内容
- 会社概要・ビジョン
- 事業内容・サービス紹介
- 福利厚生・評価制度・キャリアパス
- 選考フロー・スケジュール
スライド資料や動画を使いながら、情報を整理して伝える場面に向いています。
特に、制度や仕組みの説明はオンラインのほうが聞き手も理解しやすく、後から見返せるメリットもあります。
オンラインでは限界がある内容
- オフィスの空気感
- 社員同士の距離感・コミュニケーションの雰囲気
- 現場の“忙しさ”や“泥臭さ”
- 上司との関わり方
こうした「空気」や「温度感」に関する情報は、オンライン画面越しではどうしても伝わりにくくなります。
「オンラインだけ説明会」の落とし穴
オンラインの利便性に頼り過ぎると、次のような問題が起こりがちです。
- 参加者がカメラオフ・マイクオフのまま、ただ視聴するだけになる
- 質問が出ず、双方向性が生まれない
- なんとなく話を聞き、なんとなくエントリーしてしまう
- 選考が進む中で、ギャップに気づき、なんとなく辞退・なんとなく離職
この「なんとなく」は、新卒マネジメントにとって非常に厄介です。
会社に対する期待と現実が曖昧なまま入社すると、配属後にモヤモヤを感じやすくなります。
結果として、指導の手間が増えたり、早期離職につながったりします。
新卒マネジメントの不安を減らすためのオンライン説明会設計ポイント
オンライン説明会を、単なる“説明の場”ではなく、“選び合う場”に変えるためのポイントを整理します。
① 参加条件を明確にする
誰でも参加OKにするのか、事前の簡単なエントリーやアンケートを必須にするのか。
参加条件を少しだけ設けることで、「とりあえず冷やかしで参加」の割合を減らせます。
② 事前アンケートで関心領域を把握する
- どんな業務に興味があるか
- どんな働き方を望んでいるか
- 不安に感じていることは何か
これらを事前アンケートで把握しておくと、説明会の中で「よくある不安」に先回りして答えられます。
「自分のことを理解しようとしてくれている」と感じてもらえれば、信頼感も高まります。
③ 双方向コミュニケーションの仕組みを入れる
- チャットで匿名質問を受け付ける
- 投票機能を使って簡単なワークを行う
- 少人数のブレイクアウトルームで先輩社員と話す時間を作る
このような仕掛けを入れることで、一方的な説明ではなく「参加している感覚」を持ってもらえます。
④ 「この先に対面の機会がある」と明確に伝える
オンライン説明会のゴールは、「対面説明会や座談会に来てもらうこと」です。
そのため、最後に
- 次はどんな場があるのか
- そこで何が体験できるのか
- どのように申し込めばよいのか
を具体的に伝えることが大切です。
オンラインだけで完結させず、「次の一歩」をはっきり示しておきましょう。
対面説明会でしか伝わらない価値と、その最大化のコツ

対面説明会の本当の役割
対面説明会の役割は、情報提供ではありません。
同時に、企業側にとっても
- どんな表情で話を聞くのか
- どんな質問をするのか
- どんな価値観を大事にしているのか
といった“画面ではわからない情報”を感じ取る場でもあります。
ここでの印象は、入社後のマネジメントのしやすさにも直結します。
対面だからこそ刺さるコンテンツ
対面説明会では、オンラインでは再現しづらい体験を意識的に設計しましょう。
社内見学
実際の執務室や会議室、休憩スペースなどを見てもらうことで、働くイメージが具体的になります。
「この距離感でコミュニケーションしている」「このくらいの人数で案件を回している」といったリアルが伝わります。
先輩社員との座談会
年齢の近い先輩社員との少人数座談会は、学生にとって最も安心感を得やすい時間です。
- 入社の決め手
- 仕事のやりがい
- 大変だった時期と乗り越え方
台本通りではない“本音”が出る場にすると、「ここで頑張れそうかどうか」の判断材料になります。
グループワーク・簡単な業務体験
実際の業務の一部を切り出し、グループワークや簡単な体験型ワークを行うと、適性や素質も見えやすくなります。
同時に、学生側も「思っていたより楽しい」「想像以上に頭を使う」といった気づきを得られます。
ランチ会・カジュアルな懇親会
食事をしながら話す時間は、緊張が和らぎやすい場面です。
先輩社員同士の会話の雰囲気や、上司との距離感も伝わりやすくなります。
社員が定着しない会社がやりがちなNGパターン
対面説明会で、次のようなパターンが続いている場合は注意が必要です。
経営者の一方的なスピーチだけになっている
経営者の想いは大切ですが、それだけでは学生の不安や疑問は解消されません。
長時間スピーチが続くと、受け身で聞くだけの時間になり、「良いことを言っていたけど、自分ごとには感じなかった」という印象で終わってしまいます。
「良い話」しか出てこない、リアルさに欠ける説明会
- 残業の話が一切出てこない
- 大変さや厳しさに触れない
- 失敗談がない
このような説明会は、その場では好印象に見えるかもしれません。
しかし入社後に現実とのギャップが露呈し、「聞いていた話と違う」となってしまえば、早期離職のリスクが高まります。
定着につながる対面説明会の設計
① あえて“覚悟が必要なポイント”も伝える
- 繁忙期の残業状況
- お客様と向き合う上でのプレッシャー
- ミスが起こりやすい場面
こうした“しんどい面”も、言葉を選びながら率直に伝えます。
そのうえで、「その状況をどう乗り越えているのか」「会社としてどんなサポートをしているのか」をセットで説明することが大切です。
② 新卒マネジメントの方針を事前に共有する
- どのような育成ステップを用意しているのか
- どのくらいの期間で一人前を目指すのか
- フィードバックや面談の頻度はどれくらいか
こうした情報を事前に共有しておくと、入社後のイメージを持ちやすくなります。
同時に、企業側も「ここまではしっかりサポートするが、ここからは自分で主体的に動いてほしい」といった線引きを伝えやすくなります。
③ 既存社員を巻き込んだ運営体制づくり
対面説明会を人事だけで完結させるのではなく、現場社員や若手リーダーも巻き込みましょう。
- 若手社員が座談会に参加する
- 中堅社員がキャリアのリアルを語る
- 管理職が育成方針を話す
このように、さまざまな立場の社員が関わることで、「入社後に関わるであろう人たち」と出会う機会になります。
この出会いが、入社の決め手になるケースも多くあります。
オンライン×対面を組み合わせた「説明会フロー」成功事例と導入ステップ

効果的な組み合わせ方の基本パターン
オンラインと対面を無理にどちらかに寄せる必要はありません。
それぞれの強みを活かし、次のようなフローをイメージすると設計しやすくなります。
STEP1:オンライン説明会(母集団形成&会社理解の入口)
- 会社概要・事業内容・制度・キャリアパスを整理して伝える
- 求める人物像と採用方針を共有する
- よくある不安や質問に先回りして答える
ここでは、「この会社の考え方に共感できるかどうか」を判断してもらう場と位置づけます。
STEP2:少人数の対面説明会・座談会(共感・安心感の醸成)
- オフィス見学や業務体験でリアルを感じてもらう
- 先輩社員との対話で不安を解消する
- 価値観や仕事観のすり合わせを行う
このステップで、「この人たちと一緒に働きたい」と思ってもらえるかどうかが重要です。
STEP3:現場見学・インターン・OBOG面談(定着を見据えた最終確認)
- 実際のプロジェクトや現場を見学する
- 短期インターンで業務の一部を体験してもらう
- OB/OGとの面談で“その先”のキャリアをイメージしてもらう
ここまで来た候補者は、すでに会社への理解度と共感度が高い状態です。
企業側にとっても、「一緒に働くイメージが持てるかどうか」を最終確認する重要なフェーズになります。
【成功事例】離職率が高かった企業が「オンライン+対面」設計を変えて改善したケース
ある中小IT企業では、オンライン説明会だけで採用を進めていました。
エンジニア志望の学生を全国から集めることには成功していましたが、入社後3年以内の離職率が高く、採用コストが年々膨らんでいる状態でした。
そこで、
- オンライン説明会:会社の方向性・働き方・評価制度を明確に伝える
- 対面説明会:プロジェクト現場の見学と、先輩エンジニアとの座談会を実施
- インターン:1〜2日だけでも実務に近いタスクを体験してもらう
というフローに変更したところ、内定辞退率が下がり、入社3年以内の離職率も改善しました。
ポイントは、「オンラインで期待値を合わせ、対面とインターンでリアルを確認してもらう」という流れを徹底したことです。
【成功事例】新卒マネジメントに自信がなかった企業が、フロー設計で不安を軽減したケース
別の製造業の企業では、これまで新卒採用の経験が少なく、「入社後にうまく育てられる自信がない」という状態でした。
説明会でも育成方針をうまく伝えられず、学生側も「入社後の自分がイメージしにくい」と感じていました。
そこで、
- オンライン説明会:育成ステップ・面談頻度・フォロー体制を具体的に説明
- 対面説明会:実際にメンターを務める先輩社員を登場させ、育成のリアルを語ってもらう
という構成に変えたところ、学生から「入社してからのイメージが湧いた」「フォロー体制が具体的で安心した」といった声が増えました。
結果として、新卒マネジメントへの不安も小さくなり、現場側も「一緒に育てていこう」という前向きな空気が生まれました。
自社に合ったフローを作るためのチェックリスト

自社の最適な説明会フローを考える際には、次の観点を整理してみてください。
- 採用人数:大量採用か、少数精鋭か
- 人事リソース:人事専任が何名いるか、現場の協力をどこまで得られるか
- 拠点数:拠点が分散しているか、本社一極か
- 職種別の向き・不向き:オンラインで完結しやすい職種か、現場を見ないとわかりにくい職種か
- ターゲット人材の特性:地方在住者が多いのか、都市部中心なのか
これらを整理したうえで、
- オンラインは何回・どのタイミングで実施するか
- 対面はどの段階で、どの規模で行うか
- どのステップで「お互いに選び合う」のか
を決めていくと、自社ならではのフローが見えてきます。
今日からできる第一歩
いきなり完璧なフローを作る必要はありません。
まずは次の2つだけでも、言語化してみてください。
- 「オンライン説明会の位置づけ」
→ 情報提供の場なのか、価値観を伝える場なのか、次のステップへの入り口なのか。 - 「対面説明会で必ず伝えること」
→ 他社と比べたときのリアルな強み・弱み、覚悟してほしいポイント、育成方針。
この2つがクリアになるだけでも、説明会の内容は大きく変わります。
参加者の反応や、選考の歩留まりデータを見ながら、少しずつブラッシュアップしていきましょう。
まとめ:オンラインと対面を組み合わせて、「辞めない人材」を採る説明会へ
オンライン説明会と対面説明会は、どちらが正解という話ではありません。
大切なのは、それぞれの強みと限界を理解したうえで「採用から定着までを見据えた説明会設計」を行うことです。
採用に困っている企業ほど、説明会を“毎年のルーティン”で終わらせがちです。
しかし、少しだけ設計を変えるだけでもエントリーの質、内定辞退の理由、入社後のコミュニケーションが変わるといった手応えを得られるようになります。
まずは、自社のオンライン説明会と対面説明会の役割を棚卸しし、「どのステップで何を伝えるのか」「どこで選び合うのか」を言語化するところから始めてみてください。
その積み重ねが、新卒マネジメントの不安を減らし、社員が長く活躍する組織づくりにつながっていきます。



