「デザインも動画も、かなりお金をかけて採用コンテンツを作ったのに、応募も定着もイマイチ…。」
「SNSには“いいね”が付くのに、説明会や面接に人が来ない…。」
ここ数年、採用に悩む経営者や人事担当者から、同じような声が増えています。
特にZ世代(1990年代後半〜2010年前後生まれ)に向けた採用では、従来の「かっこいい」「おしゃれ」といった“映え”重視の打ち出し方が、かえってミスマッチや早期離職につながるケースが少なくありません。
- 求人広告に反応しない
- 説明会に来ても志望度が低い
- 入社してもすぐに辞めてしまう
もしこうした状況に心当たりがある場合、問題は「採用コンテンツの中身」と「見せ方」にあります。
Z世代は、単なるキラキラしたイメージでは動きません。
彼らが知りたいのは「この会社で働く自分の未来がイメージできるか」「ちゃんと成長できるか」「人間関係やカルチャーは自分に合いそうか」という“リアルな情報”です。
この記事では、
- 求人広告に反応しないZ世代の本音と行動パターン
- 「映える採用」がミスマッチを生む構造
- Z世代に刺さるための3つの視点(リアリティ・共感ストーリー・定着)
を体系的に整理しながら、すぐに実践できる具体的なコンテンツ設計の方法をお伝えします。
新卒マネジメントに不安があり、社員の定着にも課題を感じている企業でも、「採用コンテンツの作り方」を変えるだけで、応募の質と定着率の両方を改善することは可能です。
「映える」から一歩進んだ、“刺さって、続く”採用コンテンツを一緒に設計していきましょう。
なぜ「映える採用」は失敗するのか?Z世代の本音とミスマッチ

1-1. 求人広告に反応しないZ世代の情報収集行動とは
まず押さえておきたいのは、Z世代の情報収集の起点が「求人媒体」ではないという点です。
彼らは、求人票や会社パンフレットだけで企業を判断しません。
- 就活情報サイトは「入口」としてだけ使う
- 企業名を検索し、SNS・口コミ・社員の発信をチェック
- 動画やショートコンテンツで雰囲気を掴む
- その上で「エントリーするかどうか」を決める
この流れが、Z世代にとっての“標準ルート”になっています。
つまり、どれだけ求人広告に予算を投下しても、その後に続く「採用コンテンツ」の質が低ければ、彼らの心は動きません。
また、Z世代は「情報の裏を取りに行く」ことに慣れています。
口コミサイトやSNSで、実際に働いている人の声や、会社の日常の雰囲気を探しにいきます。
公式情報と現場のリアルに差があると、すぐに違和感に気づきます。
ここで「なんとなく怪しい」「キレイごとっぽい」と感じられてしまうと、その企業は候補から外れてしまいます。
求人広告への反応が悪い背景には、「求人票が弱い」のではなく、「その先にあるコンテンツが物足りない」「リアルが見えない」という理由が隠れていることが多いのです。
1-2. 「オシャレだけど中身がない会社」が一瞬で見抜かれる理由
採用サイトやパンフレット、採用動画を“映え”重視でつくると、最初は反応が良くなったように見えます。
ビジュアルは目を引きますし、一時的にエントリー数が増えるケースもあるでしょう。
しかし、Z世代は次のポイントを冷静に見ています。
- 具体的な仕事内容がイメージできるか
- どんな人が働いているか、リアルな顔が見えるか
- 成長やキャリアのステップが想像できるか
- 大変なところ・しんどいところも含めて正直に書かれているか
オシャレなデザインやキャッチコピーだけで、それらが伝わらないコンテンツは、「中身がない」と判断されます。
Z世代は、自分の貴重な時間と労力を投資する企業を慎重に選びます。
だからこそ、美しさだけでなく、“中身”が伴っているかどうかを見抜く力が非常に高いのです。
1-3. 採用コンテンツと早期離職の関係:期待値コントロールの失敗

早期離職が多い企業では、「採用時に伝えていたイメージ」と「入社後の現実」に大きなギャップがあることが少なくありません。
このギャップは、給与や待遇だけでなく、「働き方」「人間関係」「仕事の負荷感」「成長スピード」に関する“期待値のズレ”から生まれます。
- 採用では「フラットな組織」と伝えていたのに、実態はトップダウン
- 「ワークライフバランス重視」と謳っているのに、繁忙期の残業が多い
- 「若いうちから任せる」と言いながら、実際には単純作業が中心
こうしたギャップは、Z世代にとって「騙された」と感じる大きな要因になります。
結果として、入社後数ヶ月〜1年以内の離職につながり、採用コスト・教育コストが回収できない状態が続きます。
ここで重要なのは、採用コンテンツが“応募を増やすための広告”で終わっていないかを見直すことです。
本来、採用コンテンツは「合う人に刺さり、合わない人はふるい落とす」機能を持つべきです。
短期的なエントリー数を追いかけるために、キレイな部分だけを切り取って発信すると、結果的にミスマッチを増やしてしまいます。
1-4. 採用担当がハマりがちな“勘違いブランディング”3パターン
採用担当者が意図せずミスマッチを増やしてしまう“勘違いブランディング”には、代表的なパターンがあります。
- 「なんとなくオシャレ」路線に走る
デザイン会社や制作会社に任せきりにして、「今どきっぽい」「スタイリッシュ」を優先するパターンです。
結果として、どの会社も似たような雰囲気になり、自社らしさが薄れてしまいます。 - 「良いところだけを見せる」ポジティブ一本槍
離職につながりそうな情報を隠したくなる気持ちは自然ですが、Z世代はその隠された部分を気にします。
しんどい部分も含めて伝えた上で、「それでも挑戦したい人」を集めた方が、定着率は高まります。 - 「社長の想いだけ」を前面に押し出す
ビジョンや理念は大切ですが、「現場で働く自分」との距離が遠いと、学生には届きません。
社長の言葉と合わせて、若手社員のリアルな声やストーリーをセットで発信することが重要です。
これらのパターンに共通しているのは、「採用コンテンツを“会社の自己満足の場”にしてしまっている」という点です。
ターゲットであるZ世代の価値観や不安から逆算したコンテンツ設計に切り替えることが、採用の成果と定着率を同時に高める第一歩になります。
「映える」より大事な3つの視点①:リアリティ設計

2-1. Z世代が一番知りたいのは「良いところ」ではなく「リアル」
Z世代にとって、会社選びは「人生の時間をどこに預けるか」という重大な選択です。
だからこそ、彼らが本当に知りたいのは、ビジュアルで作られたキラキラした世界ではなく、「日常のリアル」です。
- 実際の勤務時間や残業の頻度
- 上司や先輩との距離感
- 新人が任される仕事の範囲
- 成長を実感できるタイミング
こうした情報は、求人票には書ききれません。
だからこそ、採用コンテンツの中で「リアルな日常」を見せる必要があります。
リアリティ設計のポイントは、会社にとって都合の悪い部分も含めて“そのまま”見せることです。
「繁忙期は忙しい」「最初の1年は覚えることが多くて大変」といった情報も、丁寧に伝えればマイナスにはなりません。
むしろ、「そこまで言ってくれる会社なら信頼できる」と感じる学生も多く、結果としてミスマッチ防止につながります。
2-2. 入社1〜3年目の“リアルストーリー”をコンテンツ化する方法
リアリティ設計で特に効果が高いのが、「入社1〜3年目の社員ストーリー」です。
彼らは、学生にとって最も身近なロールモデルであり、「少し先の自分」をイメージする材料になります。
具体的には、次のようなコンテンツが有効です。
- 入社理由と、入社前に抱いていた不安
- 入社して最初に戸惑ったこと・大変だったこと
- 乗り越えたきっかけになった出来事や人との関わり
- 今、やりがいを感じている瞬間
- この会社に向いている人・向いていない人
これらをインタビュー形式の記事や動画にまとめることで、「この会社で働く現実」が具体的に伝わります。
ポイントは、成功談だけでなく、迷いや葛藤も含めて言語化することです。
2-3. ギャップをなくす仕事紹介:1日の流れ・しんどさ・成長のセットで見せる
仕事内容を紹介するときも、「キレイな切り取り」だけではなく、「1日の流れ」「しんどさ」「成長」の3点セットで見せることが重要です。
- 1日のタイムライン(出社〜退社まで)
- その中で特に緊張する場面や気を遣うポイント
- その経験を通じて身につくスキルやマインド
たとえば、営業職なら「訪問件数」「架電件数」「提案準備の時間」「振り返りミーティング」などを具体的に示します。
その上で、「最初は断られることが多くてつらかったが、先輩との同行やロープレを重ねる中で、少しずつ成果が出るようになった」といった成長のプロセスを描きます。
こうすることで、学生は「楽な仕事ではないけれど、自分も頑張れば成長できそうだ」とリアルにイメージできます。
結果として、“理想化されたイメージ”とのギャップが減り、入社後のギャップショックを和らげることができます。
2-4. 失敗談・挫折エピソードを安全に発信するためのチェックポイント
リアリティを出すために失敗談や挫折エピソードを盛り込むことは効果的ですが、発信の仕方を間違えると、「ブラックに見える」「教育体制が弱そう」と逆効果になる可能性もあります。
安全に発信するためのチェックポイントは、次の3つです。
- 「失敗そのもの」ではなく「乗り越えたプロセス」に焦点を当てる
つらさだけを強調するのではなく、「どんなサポートがあったか」「どのように工夫して乗り越えたか」をセットで伝えます。 - 個人攻撃やネガティブな内部事情に踏み込まない
特定の上司や部署を否定するような表現は避け、構造的な課題と改善の取り組みにフォーカスします。 - 会社としてのスタンスを明確にする
「こうした課題があるからこそ、教育体制やフォロー体制を強化している」といったメッセージを入れることで、前向きな印象を保てます。
このように、リアリティ設計は「良い面+大変な面+会社のスタンス」をセットで伝えることがポイントです。
Z世代は、完璧な会社を求めているわけではありません。
ありのままを見せてくれる会社にこそ、信頼と安心感を抱くのです。
「映える」より大事な3つの視点②:共感ストーリー設計

3-1. Z世代が共感するのは「会社の正しさ」より「人のストーリー」
採用サイトや会社紹介資料では、「経営理念」「ビジョン」「事業内容」が中心になりがちです。
もちろん、これらは重要な情報ですが、Z世代の心を動かすのは、論理的に整った“正しさ”よりも、一人ひとりの“ストーリー”です。
- どんな学生だったのか
- なぜこの会社を選んだのか
- 入社してどんな壁にぶつかったのか
- 誰に支えられて、どう成長してきたのか
こうしたストーリーには、「自分にも同じような不安がある」「自分にもできるかもしれない」といった感情を引き出す力があります。
共感ストーリー設計の目的は、「この会社なら、自分もやっていけそうだ」と思ってもらうことです。
そのためには、等身大の人間の声を前面に押し出す必要があります。
3-2. 採用コンテンツの主役を社長ではなく“若手社員”にする理由
多くの企業では、採用コンテンツの中心に社長のメッセージを据えます。
社長の想いやビジョンはもちろん重要ですが、Z世代にとっての“主役”は、自分に一番近い若手社員です。
若手社員を主役にするメリットは、次のとおりです。
- 「数年後の自分」の姿をイメージしやすい
- 悩みや不安が自分ごととして伝わりやすい
- 会社のカルチャーやコミュニケーションの雰囲気が伝わる
社長メッセージは、「この会社がどこに向かっているのか」を示す羅針盤として機能します。
一方で、若手社員のストーリーは、「そこで働く自分の具体的な日常」をイメージさせる役割を持ちます。
両者をバランスよく組み合わせることで、Z世代にとって「遠い未来」と「今の自分」の両方をつなげることができます。
3-3. 新卒マネジメントの不安を解消する「成長ストーリー」の作り方
新卒マネジメントに不安を感じている企業ほど、「うちの会社でちゃんと育てられるのか」「厳しくしすぎると辞めてしまうのでは」と悩みがちです。
その不安を採用コンテンツで解消するには、“成長ストーリー”を見せることが効果的です。
成長ストーリーの構成は、シンプルで構いません。
- 入社前の不安やコンプレックス
- 入社直後に直面した壁
- 上司・先輩・制度によるサポート
- 小さな成功体験が積み重なった瞬間
- 今の役割と、これから挑戦したいこと
また、1人だけでなく複数名のストーリーを用意することで、「さまざまなタイプの人が活躍できる環境」であることも示せます。
これにより、「自分の性格でも合いそうか」という、Z世代にとって重要な判断材料を提供できます。
3-4. 「自分ごと化」させるためのストーリーテンプレート(ビフォー→転機→アフター)
ストーリーをつくる際に便利なのが、「ビフォー→転機→アフター」というテンプレートです。
- ビフォー:過去の状態
例)人前で話すのが苦手だった/自分に自信がなかった/なんとなく就活をしていた - 転機:きっかけとなった出来事
例)初めてのプレゼンで失敗した/先輩から厳しいフィードバックをもらった/難しい案件を任された - アフター:今の状態とこれから
例)今では新人研修の講師を担当している/お客様から指名される営業になった/自分で手を挙げて新しいプロジェクトに挑戦している
この流れを使うと、ストーリーにメリハリが生まれます。
学生は、「自分もビフォーの状態に近い」「転機の場面は怖いけれど、乗り越えた先のアフターには憧れる」といった形で、自分ごととして捉えやすくなります。
採用コンテンツの中で、こうしたストーリーをテキストや動画、SNS投稿として定期的に発信していくことで、「この会社で成長していく自分」の姿を、Z世代の頭の中に描いてもらうことができます。
「映える」より大事な3つの視点③:定着まで見据えたコンテンツ戦略

4-1. 入社後のリアルを先に見せることで「定着率」を上げる
採用コンテンツのゴールを「内定承諾」だけにしてしまうと、どうしても“口当たりの良い情報”に寄ってしまいます。
しかし、本当に目指すべきは「入社後もイキイキと働き続けてくれる状態」です。
そのためには、入社後のリアルを先に見せることが欠かせません。
- 配属後の研修内容やOJTの流れ
- 1年目・2年目で経験する主な業務
- 人事評価やフィードバックのタイミング
- キャリアのステップと求められる役割
これらを事前に共有しておくことで、「思っていたのと違った」という理由で離職する人を減らせます。
厳しさや大変さも含めて先に伝えておけば、それを理解した上で入社する人が増え、結果的に定着率は上がります。
4-2. 内定〜入社までのフォローをコンテンツ化して不安を減らす
Z世代の多くは、内定後から入社までの期間にさまざまな不安を抱えます。
- 「本当にこの会社でよかったのか」
- 「同期とうまくやっていけるだろうか」
- 「仕事についていける自信がない」
この不安を放置すると、内定辞退や入社直後のモチベーション低下につながります。
そこで有効なのが、内定〜入社までのフォローを“コンテンツ”として設計することです。
たとえば、
- 先輩社員からのウェルカムメッセージ動画
- 内定者限定のオンライン座談会レポート
- 入社までにやっておくと安心な準備リスト
- 1年目社員の「リアルな一週間」をまとめた記事
などを定期的に届けることで、「この会社は自分たちをきちんと迎える準備をしてくれている」と感じてもらえます。
これにより、心理的な距離が縮まり、入社への不安が和らぎます。
4-3. 社員が辞めない会社がやっている“社内向け採用コンテンツ”とは
実は、採用コンテンツは「社外向け」だけに使うものではありません。
社員が辞めない会社ほど、社内向けの採用コンテンツを上手に活用しています。
- 新人の成長ストーリーを社内報や社内SNSで共有
- 部署ごとの取り組みをインタビュー形式で紹介
- 経営層のビジョンや意図を動画で繰り返し伝える
こうしたコンテンツは、既存社員に対しても「自分はこの会社で何を期待されているのか」「会社はどこに向かっているのか」を再確認する機会になります。
採用のタイミングだけでなく、日常的にコンテンツを通じてコミュニケーションを重ねることで、エンゲージメントの高い組織づくりにもつながります。
4-4. 今日から始められる:1社で完結するZ世代向け採用コンテンツの作り方ステップ
最後に、今日から実践できるステップを整理します。
- 現状の採用コンテンツ棚卸し
求人票、採用サイト、パンフレット、動画、SNS投稿を並べて、「リアリティ」「ストーリー」「定着までの情報」がどれだけ含まれているかをチェックします。 - 入社1〜3年目社員へのインタビュー実施
リアルなエピソードを引き出す質問リストを用意し、テキストや動画でコンテンツ化します。 - 1日の流れ・1年の流れを見える化
職種ごとに「1日のタイムライン」「1年目の成長ステップ」を図や表でまとめ、採用サイトや資料に反映します。 - 内定〜入社までのコミュニケーション計画づくり
いつ、誰から、どんなコンテンツを届けるかを月ごとに設計し、内定者向けのフォロー施策として実行します。 - 社内向けへの展開
作成したコンテンツを社内にも共有し、「うちの会社の強み」「新人への期待」を再確認できる仕組みをつくります。
これらのステップを踏むことで、「映える見た目」だけに頼らない、Z世代に刺さる採用コンテンツの土台が整います。
採用に困っている企業、新卒マネジメントに不安を感じている企業、社員の定着に悩んでいる企業こそ、採用コンテンツを“入口から定着までをつなぐ設計図”として捉え直すことが重要です。
まとめ
Z世代に刺さる採用を実現するうえで、大切なのは「映え」そのものではありません。
- 第1章で見たように、Z世代は求人票だけでなく、ネット上の情報を横断的にチェックし、オシャレだけで中身のない採用コンテンツはすぐに見抜きます。
- 第2章では、リアリティ設計を通じて、良い面だけでなく大変な面も含めて「等身大の会社」を見せることが、ミスマッチ防止と信頼の獲得につながることをお伝えしました。
- 第3章では、会社の正しさではなく「人のストーリー」を中心に据え、若手社員の成長ストーリーを通じて、「この会社で働く自分」をイメージしてもらう重要性を整理しました。
- 第4章では、採用コンテンツのゴールを内定ではなく「定着」に置き直し、内定〜入社後までを見据えたコンテンツ戦略と、その具体的なステップをご紹介しました。
採用難の時代だからこそ、「とりあえずキレイに見せる」発想から、「本当に合う人にだけしっかり届く」発想へと切り替える必要があります。
リアリティとストーリー、そして定着までの導線が設計された採用コンテンツは、単に応募数を増やすだけでなく、会社とZ世代の双方にとって幸せな採用・定着を実現します。
今ある採用コンテンツを少し見直すだけでも、できることはたくさんあります。
まずは、入社1〜3年目のリアルな声を集めるところから、一歩を踏み出してみてください。



